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骨髄移植コーディネーター不足 岡山、広島  遅れ懸念 人材確保急務

岡山県内の骨髄採取件数(グラフ)

 白血病や再生不良性貧血といった血液疾患に有効な骨髄移植で、ドナー(骨髄液提供者)と病院間の連絡調整などを行うコーディネーターが、岡山、広島県などで不足している。移植に遅れが生じる恐れもあり、骨髄移植推進財団(東京)は養成研修会を開くなど人材確保に懸命だ。



 移植は、骨髄で正常な血液がつくれなくなった患者に骨髄液を提供する。拒絶反応を避けるため、ドナーと患者の白血球の型(HLA型)が一致することが条件だが、非血縁者間の適合率は数百人から数万人に一人とされ、一九九二年にドナー登録が始まった。

 コーディネーターはドナーや家族に面談して提供意思を確認したり、骨髄採取や健康診断の日程を病院と調整するほか、全身麻酔で五日間程度の入院が必要な骨髄提供の際に付き添い、不安を和らげる役割を担う。

 現在、全国に百二十五人おり、岡山県は三人だが、うち一人が活動休止中で実質二人。広島県は二人、香川県は一人。同財団は、骨髄採取件数が少ない香川などを除き岡山、広島など二十四都道府県で不足としている。

 月に二十日以上、ドナーに付き添うこともある女性コーディネーター(58)=岡山市=は「患者と型の合うドナーが一度に複数出た場合、ドナーの意思確認や患者への移植が遅れないか心配」と打ち明ける。

 一方、ドナーは白血病を扱った映画「世界の中心で、愛をさけぶ」の大ヒットなどで増え、二〇〇六年度末の登録者は岡山県が五千五百六十五人(前年度比10%増)、広島県五千九百九人(同13%増)、香川県千五百七十三人(同10%増)。

 骨髄の採取は、岡山県では岡山大病院など三病院、広島県は広島大病院など三病院、香川県は香川大病院で実施。岡山県内の年間採取件数は近年、二十件を超すことが多く、昨年は二十七件で中四国最多だった。

 ドナー登録や採取件数が順調に推移していることも、コーディネーター一人当たりの業務量増加につながっており、骨髄移植推進財団は岡山で二年ぶり、広島で六年ぶりにコーディネーターを最低一人ずつ募集。ホームページや自治体の広報誌を通じて応募を呼び掛け、中四国では広島市で養成研修会を開催する。

 増えない要因として、応募資格は五十五歳まで▽コーディネーター業務を最優先できる▽東京で三日間の集合研修を受講―など要件の厳しさを指摘する声もある。

 同財団は「ドナーはいつ発生するか分からないため、業務最優先でお願いしたい。ドナーの善意が生かせるよう、積極的に応募してほしい」と呼び掛けている。応募締め切りは三十一日(必着)。問い合わせは同財団(03―5280―8233)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年07月08日 更新)

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