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高齢者の「孤独死」 急増 上半期288人 岡山県警まとめ 過去最悪ペース

県内の60歳以上の孤独死件数(グラフ)

 一人暮らしの高齢者(六十歳以上)が、自宅で誰にもみとられずに亡くなる「孤独死」が、岡山県内で急増している。県警によると、今年上半期(一―六月)は二百八十八人で、戦後最悪だった昨年(年間四百四十六人)を上回る勢い。社会との接点を失いつつある高齢者の実態が浮き彫りになっている。

 県警のまとめでは、九〇年代まで年間百―二百人で推移していた。ところが二〇〇〇年に入ると増加傾向で、〇三年には三百人を突破し三百二十三人。さらに、昨年は前年比15%増の四百四十六人で、「今年は五百人を超えるペース」(県警)。

 上半期の死因別では、病死が二百二十七人と八割を占める。次いで自殺三十一人、転落などの過失死十三人、火事などの災害死七人―。県警によると、発見は死後数日以内が多いが、数週間から一カ月以上後も少なくない。一年以上というケースもあったという。

 〇五年の国勢調査では、六十五歳以上の一人暮らしは六万二千六百七十四人。女性が四万六千九百九十九人で男性(一万五千六百七十五人)を三倍も上回り、女性の一人暮らしが圧倒的に多い。これに対し、今年上半期の孤独死は男性百五十七人、女性百三十一人で、「男性の孤独死が多い傾向」と県警。

 昨年の内閣府意識調査で「近所付き合いがない」とする一人暮らしの男性が24%と、女性(7%)を大幅に上回っているように、外部とのつながりが薄い男性が、支援を受けられないまま亡くなっていることがうかがえる。

 孤独死の増加について、県立大保健福祉学部の香川幸次郎教授(高齢者保健福祉)は「背景に高齢化や核家族化があり、現代社会特有の問題」と指摘。「一人暮らしの高齢者は身体機能の衰えとともに社会との接点を失いがち。今後もさらに増加が懸念される」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年07月09日 更新)

タグ: 介護高齢者福祉

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