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急性脳症、発症遺伝子特定へ 岡山大グループ 血液使い変異分析

大内田守准教授

大守伊織助教

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の大内田守准教授(分子遺伝学)と大守伊織助教(細胞生理学)の研究グループは、急性脳症の原因となる遺伝子の研究を始める。今月下旬から、急性脳症の後遺症のある人と健康な人との遺伝子の違いを調べ、治療方法を探る。

 大守助教らによると、急性脳症はインフルエンザの感染や気管支拡張剤、解熱剤の服用などによって、脳細胞がダメージを受け、けいれんや意識障害などが起きる場合がある。重症化すれば後遺症が残る恐れがある。発症に至る過程については「遺伝子レベルでの研究は手付かず」という。

 研究グループは、岡山大病院と鳥取大病院に通院する百人以上から採血。血液中の全遺伝子を対象に健康な人と比較して、変異部分を探し出す。

 研究のポイントは、健康な人とタンパク質の性質を比べること。「人間の体が本来の機能を果たせるようコントロールするのがタンパク質」(大内田准教授)であることから、変異を持つ遺伝子を人工的に作り、その遺伝子から生み出されるタンパク質を分析することで、急性脳症を引き起こす遺伝子を特定する方針。

 大守助教は「遺伝子を特定することで、急性脳症の重症化を食い止める治療薬の開発に道筋を付けたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年07月12日 更新)

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