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前立腺がん再発患者対象 岡山大病院が新治療

 岡山大病院(岡山市鹿田町)の泌尿器科は、再発した前立腺がんに対し、がん細胞の表面にあるペプチド(複数のアミノ酸が結合した化合物)からつくった“ワクチン”を、数種類組み合わせて投与する新しい臨床試験に九月から着手する。中四国の医療機関では初の取り組みで、研究の初期段階ではがんが大幅に縮小するなど高い効果を挙げたという。

 がん細胞は自分の細胞が変化したもので、体の免疫機能が異物と認識しにくい。しかし、がんを特定する際の目印となるペプチドが体内に取り込まれることで、患者にあらかじめ備わっているリンパ球を活性・増殖させ、がん細胞を攻撃する仕組み。

 前立腺がんに現れるペプチド二十六種類のうち、患者の血液検査で反応の高かった上位四種類を組み合わせてワクチンを調合。二週間おきに三ミリグラムずつ太ももなどに皮下注射する。より効果を高めるために低量の抗がん剤を併用する。

 がんに対するホルモン療法が効かなくなり再発した患者が対象。約二年間で八十人に実施する。

 国内で同様の試験に先行して取り組んでいる久留米大(福岡県)からノウハウの提供を受け、治療は泌尿器科、ワクチンの調合は院内の遺伝子・細胞治療センターが担当する。

 泌尿器科の那須保友准教授は「これまでは単体のペプチドを投与する方法しかなかったが、数種類組み合わせることで高い確率でがんに効く可能性がある。久留米大の試験では生存期間は延びており、患者が選定でき次第、早期に実施したい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年08月21日 更新)

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