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インフルRNAの切断酵素を開発 岡山大・世良教授ら 発症防ぐ効果

世良貴史教授

 岡山大大学院自然科学研究科の世良貴史教授(タンパク質工学)らのグループは、インフルエンザウイルスの遺伝情報となるRNA(リボ核酸)を切断する酵素を開発した。ウイルスの増殖を抑えて発症を防ぐとみられ、創薬につながると期待される。エイズやエボラ出血熱など、RNAが遺伝情報となる他のウイルスへの応用も見込まれる。

 開発した酵素は、インフルエンザのRNAだけに結合する人工タンパク質とRNAを分解する酵素から成る。試験管内で、インフルエンザウイルスのRNAと混ぜると、5分以内にRNAが完全に切断された。現在、細胞内でウイルスの増殖を阻害できるかを調べている。

 世良教授らは、さまざまなウイルスの遺伝情報を解析し、個々のウイルスに特異的に結びつくタンパク質の合成技術を持っている。こうした人工タンパク質とRNAを分解する酵素を組み合わせることで、インフルエンザ以外のウイルスでもRNAを切断する酵素の開発が望めるという。

 世良教授は「この手法は汎用(はんよう)性が高い。細胞や動物を使った実験などを行い、近い将来の実用化を目指したい」と話している。成果は9月、米科学誌電子版に掲載された。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年12月25日 更新)

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