文字 

女性医師の復職支援 岡山大病院 技術を再教育

 女性医師が出産・育児で医療現場を離れてもスムーズに復帰できるよう、岡山大病院(岡山市鹿田町)は十二月から復職支援プログラムを始める。同病院以外も含め、女性医師が目立つ内科や小児科、産婦人科、麻酔科を専門とする復職希望者が対象。医療技術の再教育を中心に、来年四月には家庭との両立に配慮した“女性採用枠”を設ける。病院全体の取り組みとしては、岡山県内で初という。

 女性医師は、国内の医師全体の二割弱となり増加傾向。岡山大医学部では卒業生の約三割に達しているという。出産・育児で離職するケースは多く、「命にかかわる仕事だけに技術の衰えが不安」「緊急手術や呼び出しで子育てと両立できない」との理由から職場復帰は難しいとされる。

 支援プログラムでは、「短期コース」(最長二日間)として、各診療科で必要な対処法を学ぶ「臨床技能速習」、救急患者対応の「急変時シミュレーション」など五分野を開設。希望者は心臓に電気ショックを与える自動体外式除細動器(AED)の操作法、麻酔のかけ方などをあらためて学ぶ。訓練には、心拍数や血圧などデータが変化する高機能ダミー人形を使い、より効果を高める。

 新たに設ける女性採用枠(期間二年)は、毎年五人を岡山大病院医師として採用。緊急時の呼び出しなどを原則免除し、復職希望者らの“受け皿”にする。

 プログラムは、社会的ニーズに対応した医療人養成を対象とする文部科学省の財政支援事業に採択された。

 森田潔同病院長は「家庭を持つ女性医師が働き続けようと思っても実際は厳しい。スムーズに復職できる態勢を大学病院が率先して整えることで、モデルケースの一つにしたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年10月17日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ