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熱に強い「膜タンパク質」の新種 岡山大薬学部の金原さんら発見

85度で加熱した場合の膜タンパク質の変化。従来の膜タンパク質(左)は60分後に働いていないことを示す無色となったが、新種(右)は10時間後も働きを保った

金原加苗さん

 岡山大薬学部4年の金原加苗さん、大学院医歯薬学総合研究科の須藤雄気教授(生物物理学)らのグループは、細胞膜に存在する「膜タンパク質」の新たな種類を発見した。光を当てることで細胞内外にイオンを運ぶ働きを発揮し、熱にも強いのが特長。働きを応用した医薬品の開発や光で生命機能を操る研究の進展につながる成果と期待される。14日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツに論文が掲載された。

 膜タンパク質の一部は、生物にとって必須のイオンを輸送し、濃度を調節する機能を持つ。これらには膨大な種類があるが、グループはそのうち光に反応し、色の変化によって働きも確かめやすい「ロドプシン」に着目した研究を続けている。

 解析など基礎研究に役立つよう、ロドプシンの中でも安定して働き、大量調製もできる新種を探すうち、英国のカーペット工場の熱水フィルターから過去に検出されていた細菌から発見。細胞内外の濃度差に従うのでなく、逆らってイオンを運ぶ「イオンポンプ」と呼ばれるタイプに分類されることや85度で加熱しても最長で10時間働くことを突き止めた。

 グループによると、これまでに見つかった光で働くイオンポンプでの最長は約40分で「世界記録を大幅に更新した。何が安定性に関係しているかを詳しく研究したい」(金原さん)としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年03月15日 更新)

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