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岡山大「REIC」で肝がん治験 医師主導で5月にも開始

会見で治験について話す白羽講師(右)、公文教授(左)ら=岡山大鹿田キャンパス

 岡山大は24日、がん抑制遺伝子「REIC(レイク)」を用いたがん治療の製剤について、肝がん患者を対象にした臨床試験(治験)を5月にも岡山大病院(岡山市北区鹿田町)で始めると発表した。製薬会社が主体ではなく、医師主導で行う。

 REICは同大が2000年に発見。がん細胞のみを選んで自滅させるとともに、がんに対する患者自身の免疫を活性化させる働きがある。同大などは、がん細胞への運び役「アデノウイルス」とREICを組み合わせた製剤を開発。実用化に向け、前立腺がんを対象にした治験を米国で実施しているほか、悪性中皮腫に対する治験に岡山大病院など国内3施設で取り組んでいる。

 今回は肝がんのうち、肝細胞がんと、膵臓(すいぞう)がんから転移した患者を対象に行う。病状が進行した12~18人を3人ずつのグループに分け、同大発の創薬ベンチャー・桃太郎源(岡山市北区柳町)が提供する製剤を2週間おきに計3回、腫瘍に直接注入する。グループごとに製剤の濃度を変え、安全性や治療効果を評価する。治験は1年程度で終わる見込み。

 治験に携わる岡山大大学院の岡田裕之教授らが同大鹿田キャンパスで記者会見した。治験責任者の白羽英則・同大病院消化器内科講師は、国内で年間約3万人が肝がんで死亡していることに触れ「患者の中には肝機能が弱り、抗がん剤や放射線での治療が難しい人もいる。これまで治すことの難しかった患者を一人でも救いたい」と話した。

 REICを用いた遺伝子治療薬の開発に長年努める公文裕巳・同大大学院特命教授は「効果が認められる症例を積み重ねることで、新しい治療薬として早期の承認にこぎつけたい」と述べた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年04月24日 更新)

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