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元岡山大学長 大藤さん 57年前の偉業に表彰 日本神経内分泌学会 脳の下垂体門脈発見で

大藤真さん

 元岡山大学長で高梁学園常務理事の大藤真さん(87)=岡山市東山=が、五十七年前の脳の下垂体門脈発見で、日本神経内分泌学会第一回特別功労賞に選ばれた。大藤さんは「六十年近くたって表彰されるとは思わなかった。感慨深い」と喜びをかみしめている。八日、沖縄県で開かれる同学会学術集会で表彰される。

 大藤さんは一九四八年、岡山医科大(現岡山大医学部)第二内科助手時代、マウスを使い脳の血管構造を研究していた際、脳中枢部でホルモンをコントロールする視床下部と下垂体をつなぐ「門脈」(毛細血管をまとめ他の器官につなぐ特殊な血管)を発見。血液が上から下へと流れる方向も証明した。

 「六~七本の血管が並んで滝のように上から下へ血液がザーッと流れる様子が、きれいに見えた。今でもはっきり覚えている」と大藤さん。

 終戦直後の混乱期、海外の学会に出席できず、国内の学会で発表し著名な学者に酷評された。しかし、その後、米国の学者が門脈を通って運ばれる視床下部ホルモンの化学構造を解明し、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。

 「米国の学者がノーベル賞を受賞してからは、“ノーベル賞をもらいそこねた男”と随分言われた」と言う大藤さんは「長年の胸のつかえが取れたよう」と話している。

 日本神経内分泌学会は、選考理由を「戦後、研究状態の悪い中での素晴らしい発見。学術的功績に加え、この分野の研究者を育てたことにも敬意を表する」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年07月08日 更新)

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