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がんワクチン、改良型の試験承認 岡山大倫理委 30人に投与へ

中山睿一教授

 岡山大の倫理委員会(委員長・佐々木順造教授)は十八日、中山睿一教授(腫瘍(しゅよう)免疫学)らが申請していた、改良型ワクチンによるがん免疫療法臨床試験の実施を承認した。大阪大や東京大と来年以降、がん患者計三十人に投与し、安全性と効果を確かめる。

 同療法は、がん細胞だけに存在する特殊なタンパク質を使って免疫力を高め、体内で“異物”と認識されにくいがん細胞を攻撃する。中山教授らは二〇〇四年七月―〇七年二月、がんワクチン「CHP―NY―ESO―1」を使った臨床試験を行い、末期がん患者計九人中七人で、腫瘍の増殖が一部止まるなどの効果を確認した。

 中山教授らはワクチン成分のタンパク質を構成するアミノ酸のうち、がん細胞を破壊する「キラーT細胞」と、その働きを高める「ヘルパーT細胞」の増殖に関与する二十個を特定しており、新たな臨床試験では二十個のアミノ酸で作った改良型ワクチンを使用する。

 手術や放射線治療など従来の治療法では効果が見込めない二十―八十歳の食道がんや肺がんなどの患者を対象に、三週間おきに計六回注射する。

 中山教授は「特定のアミノ酸を使うことで免疫機能が効率よく活性化され、前回使ったワクチンよりも高い効果が得られるのではないか」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年12月19日 更新)

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