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離れた患者 ロボットで「診療」 岡山博愛会病院、会話や動き確認

岡山博愛会病院が導入したコミュニケーションロボット「OriHime(オリヒメ)」

タブレット端末の映像を確認しながら離れた場所にいる患者を診察する医師

 岡山博愛会病院(岡山市中区江崎)は、自宅や施設で療養する高齢者らと院内の医師を結ぶコミュニケーションロボット「OriHime(オリヒメ)」を1台導入した。ロボットを介して会話したり、患者の状態を医師が動画で確認したりでき、遠隔診療などでの本格活用を検討している。

 オリヒメは丸みを帯びた白い胴体に、頭と翼のような両腕が付いており、高さ約21センチ、幅約15センチ。インターネットに接続したパソコンやタブレット端末で遠隔操作でき、搭載カメラで撮影した動画を見ながらロボットのそばにいる人と話すことができる。腕を動かすことも可能。

 開発主体でレンタルを行っているオリィ研究所(東京)によると、病気や育児などで出勤できない人が代わりに会議に出席させるなど仕事での利用が目立つ。同病院は医療や介護現場で役立つと考え、6月から1台をレンタル。県内での導入はほとんど例がないという。

 特別養護老人ホーム(特養)の入所者や訪問看護先の在宅高齢者の診療などで6月中に十数回運用。家の中の様子を見たいという入院患者の自宅に持ち込んで願いをかなえたケースもある。

 19日に中区の特養の入所者を診療した際は医師がタブレット端末でオリヒメを操作しながら「調子はどう?」「手を挙げてみて」などと高齢者に話し掛け、映像を見て顔色や腕の動きを確認するなどした。診療した更井哲夫医師(69)は「ロボットを介して医師が離れた患者の症状を確認することで夜間でも適切に対応できる。不要な救急搬送も防げる」と期待する。

 高齢者らからは「人がいるようで親近感が持てる」「『手を挙げて』などロボットの身ぶり付きで指示してもらえ分かりやすい」といった声が寄せられているといい、同病院は今後の活用法を幅広く検討している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年06月30日 更新)

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