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がん細胞死滅ウイルス 免疫の働きも活性 岡山大グループ 有効性裏付け

藤原俊義准教授

 岡山大病院遺伝子・細胞治療センターの藤原俊義准教授らの研究グループは、がん細胞だけを死滅させる同大開発のウイルス「テロメライシン」を投与すると、がん細胞に対する免疫の働きも高めることを六日までに確認した。免疫活性化により、がん細胞への攻撃力が増すことが考えられ、テロメライシンの有効性を裏付ける成果として注目される。

 テロメライシンは、無害化させたアデノウイルス(風邪ウイルスの一種)と、がん細胞の増殖にかかわる酵素テロメラーゼの一部を結合させたウイルス。ヒトのがん細胞に感染すると一日で十万―百万倍に増え、がん細胞を破壊する。

 藤原准教授らはテロメライシンの免疫細胞への影響を調べるため、体内の老廃物である尿酸の濃度を測定。ヒトのがん細胞にテロメライシンを感染させて増殖させると、通常に比べ四倍、抗がん剤を与えた時よりも二―三倍に、それぞれ高くなることを試験管レベルの実験で確認した。

 血液中で尿酸値が上昇すると、尿酸を危険信号として察知する免疫細胞の働きが高まり、がん細胞を攻撃することは知られていた。今回の実験でグループは、テロメライシンが免疫細胞の働きを高めたと結論付け、米科学誌オンコジーン(電子版)で発表した。

 テロメライシンは現在、同大発のベンチャー企業オンコリスバイオファーマが米国で臨床試験を実施。藤原准教授は「今後の臨床試験に参加した患者の免疫の状態を調べたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年02月07日 更新)

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