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乳がん恐れず前向きに 闘病体験基にアドバイス 患者支援続ける曽我さん 岡山で講演

「異常を感じたら、乳腺外科などの専門医にすぐ相談してほしい」と話す曽我さん

 日本女性のがんで最も多い乳がん。自らの闘病経験を生かし、がん患者の生活を支援する会社「VOL―NEXT」(東京都港区)を立ち上げた曽我千春さん(43)=岡山市出身=が、さんかく岡山(同市表町)で講演した。「~乳がん体験から学んだ~愛と覚悟と生きるということ」と題し、乳がんにおくせず前向きに生きる人生を熱く語った。 

 乳がんが分かったのは三十三歳のとき。「仕事で東京と岡山を往復し、睡眠は三時間。あまりの忙しさに体が悲鳴を上げたのかもしれない」―。

 当時は、アナウンサー、イベント企画業で飛び回る生活。入浴中に偶然胸にしこりを見つけた。医師の説明を受け、乳房の一部を切除する手術を決意。術後はホルモン療法を続けた。

 「それからは仕事中心だった生活が一変した」。先の見えない恐怖や孤独を感じながら暮らし、仕事の大半をやめた。支えてほしかった夫とも心の擦れ違いが現れ始め、やがて離婚したという。「治療方針に納得できず、主治医を代えたこともある」

 乳がんは乳腺部にでき、女性ホルモン「エストロゲン」を利用して増殖する悪性腫瘍(しゅよう)で、十年以上後に再発する例もある。厚生労働省の調査では毎年四万人近く発症している。女性特有と思われがちだが全患者の1%は男性だ。

 抗がん剤、放射線治療などが年々進歩する乳がん医療だが、「長期にわたる闘病は生活への影響が大きい。患者には治療以外のケアが必要だと思う」と訴える。

 インターネットで同じ境遇の人が多いことを知った曽我さんは、ボランティアで情報交換の場、勉強会を開催。活動を続けるために乳がん経験者の仲間たちとともに起業した。がん関連の情報提供を柱に、薬の副作用で髪が抜けた人向けのかつら、手術で失った乳房を補う下着など生活用品を取り扱い、患者を支援する人材の育成を行っている。

 「薬が高額で買えない」や「乳がんで夫との関係が冷え切った」、「おしゃれなまま死にたい。似合うかつらを選んでほしい」…など、相談は深刻なものばかり。「手術に成功しても患者の不安は強く、覚悟と深い知識が無いと対応できない。それだけにほっとした表情を見るのがうれしい」と話す。

 乳がんの早期発見のため、月一回程度の自己検査を呼び掛ける。「乳がんは自分で見つけられる数少ないがん。しこりや色、形などに異常がないか確認してほしい」と言う。

 曽我さんは「医療の進歩で乳がんは死に直結しない時代になりつつある。治療情報も増えているので、乳がんが分かっても、恐れず前向きに頑張って」と締めくくった。


 そが・ちはる 1965年岡山市生まれ。成城大卒業後、北海道放送アナウンサーを経てフリーに。乳がん発症を機に2004年「VOL―NEXT」(従業員10人)を設立。全国に約2万人の顧客を持つ。日本乳癌学会・乳がん患者向けガイドライン作成委員も務める。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年04月05日 更新)

タグ: がん健康女性

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