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「ヘルプマーク」県内で導入進む 7市2町無料配布、普及団体も誕生

外見では分かりづらい障害などのある人が配慮を求めていることを示すヘルプマーク

 外見では分かりづらい障害や病気のある人が配慮を求めていることを知らせる「ヘルプマーク」の導入が岡山県内で広がり、9月末までに県西部を中心に7市2町で無料配布が始まった。普及を図るボランティアグループも誕生し、どこでも支援が受けられるように県全域での導入を呼び掛けている。

 ヘルプマークは縦8・5センチ、横5・3センチの赤色の樹脂板に、白い「+」と「♡」のマークが描かれ、付属のつり下げバンドでバッグなどに取り付けて携帯する。内臓の障害や発達障害があったり、手術後や妊娠中だったりする幅広い人が利用でき、電車やバスの座席を譲ってもらうなど、お願いしたい支援の内容を記入したシールを裏面に貼っておく。

 2012年に東京都が考案し、他の自治体や企業にも導入を呼び掛けた。今年7月には日本工業規格(JIS)に採用され、京都、大阪府、徳島県など府県単位の導入が進んでいる。

 岡山県内では浅口市が今年1月に無料配布を始め、2月には井原市、その後も新見市、総社市、里庄町、高梁市、矢掛町、真庭市、笠岡市と続いた。岡山市は18年度の配布に向けて準備を進めており、瀬戸内、赤磐市なども早期導入を目指している。

 マークを受け取った人はまだ多くない。障害者施設の利用者にまとめて申請を呼び掛けた井原市は9月末までに約100人に配布したが、他市町は数人から60人弱にとどまっている。

 各市町とも配布対象は住民票のある人に限られ、申請書を提出しなければならない。障害者手帳や母子手帳の提示を求められたり、障害や病気の具体的な状況を尋ねられたりする場合もあり、入手を諦める人もいるという。

 先行した東京都では地下鉄の駅などでマークを持ち帰ることができる。申請書や手帳は必要なく、今年3月までに約16万5千枚を配った。府として導入した京都や大阪も府庁の担当課だけでなく、市区町村の窓口に常備。どこに出向いても申し出るだけで受け取れるようにしている。

 岡山県内でもマークを広めようと昨年7月、障害児の母親らが集まるボランティアグループ「ハートエイド」(事務局・笠岡市)が発足した。宮口治子代表(41)は「現状では、導入している市町に住んでいないとマークをもらえない。岡山でも県の施策として配布してほしい」と訴える。

 県は「配布は身近な市町村でお願いしたい」との立場。障害福祉課の中村勝利総括参事は「何を示すマークか知ってもらうため、ポスターやちらしを作っている。障害者への配慮を呼び掛ける研修会などを通じ、マークを紹介していきたい」と話している。

※〓はハート(白)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年10月29日 更新)

タグ: 福祉

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