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岡山市「ACP」手順の手引作製 家族らと終末期考えるきっかけに

市が作成したACPの作成手順などを記した手引

 岡山市は、末期がんや老衰など自宅で療養する患者向けに、本人や家族、かかりつけ医らが話し合って事前に治療や介護方針を決める「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」の作成手順や意志表示例を記した手引を作った。在宅医療推進の一環で、終末期の在り方を考えるきっかけづくりにも活用する方針。

 ACPは、終末期に望む治療法や療養場所、患者本人が意志表示できなくなった場合の代理決定者の選定などについて、家族や医師らとあらかじめ話し合い、共有するプロセス。欧米が先進地とされ、市によると、国内で自治体が手引を作るケースは珍しいという。

 手引はA3判の二つ折りで、タイトルは「もしものために~話し合い つたえておこう 事前ケア計画」。余命が短くなった際に告知を望むか▽余命が延びる可能性があれば、つらい治療でも受けるか▽人工呼吸器の装着を希望するか―など7項目のチェックリストをはじめ、受けたくない治療や大切な人に伝えたいことといった自由記述欄を設けている。話し合いの参加者や日時など意志決定までの過程を記録するスペースもある。

 市が昨年行った在宅医療に関する意識調査では、意思疎通できなくなった場合に備えて延命治療の拒否などの意向を記載した書面を「作成したい」と回答した人は56・4%に上った。一方、実際に「作成している」は2・9%にとどまったため、ギャップの解消が必要と判断した。

 市医療政策推進課は「家族や医師らと話し合うことで、患者や周囲もより納得のいく決断ができる。手引を通じて、もしもへの備えを考える機会をつくりたい」としている。

 1万部作成。当面は市医師会を通じて周知を図り、来年以降、市民向けの講座などで活用する。希望者には市民病院(北区北長瀬表町)内の市地域ケア総合推進センターなどで配布している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年11月10日 更新)

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