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がん破壊ウイルス、岡山大開発 腫瘍が最大34%縮小 米臨床試験 効果や安全性確認

藤原俊義准教授

 岡山大病院遺伝子・細胞治療センターの藤原俊義准教授らが開発した、がん細胞だけを死滅させるウイルス「テロメライシン」を使った米国での臨床試験で、末期がん患者の腫瘍(しゅよう)が最大で34%縮小したことが分かった。副作用もほとんど見られず、「抗がん効果に加え、ウイルスの安全性が確認できた」としている。

 臨床試験は、新薬開発などを手掛ける岡山大発のベンチャー企業・オンコリスバイオファーマ(東京)が実施。六月一日、シカゴで開かれる米国臨床腫瘍学会で発表する。

 テロメライシンは、無害化させたアデノウイルス(風邪ウイルスの一種)と、がん細胞の増殖にかかわる酵素テロメラーゼの一部を結合させたウイルス。ヒトのがん細胞に感染すると、一日で十万―百万倍に増え、がん細胞を破壊する。

 臨床試験は二〇〇六年十月から今年一月にかけ、悪性黒色腫や頭頸部(けいぶ)がんなど進行性固形がんの十二人(四十―六十代)に実施。一ミリリットル中のウイルスを百億―一兆個の三段階に設定し、患部に一回だけ注射した。

 抗がん効果を測定できるデータがそろった患者九人中、六人で約一カ月後に腫瘍が6・6―34%縮小しているのを確認。一部の患者で発熱、患部の痛みを訴えたほかは、十二人全員に重大な副作用は出なかったという。

 藤原准教授は「来年にも食道がんに対し、放射線や抗がん剤を併用して効果を確認する臨床試験に着手したい」と話している。 


問題点見られず

 国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部・山口照英部長(バイオ医薬品)の話 今回の臨床試験では、安全性について特に問題となるような点は見られなかったということで一定の成果があったといえる。次のステップでは目的とする臨床効果が得られるかが大きな課題となるだろう。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年05月30日 更新)

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