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積極的に人工関節手術 倉敷リバーサイド病院 幅広い世代に有効

人工関節を手に説明する川口部長

 関節が変形して最後には歩けなくなってしまう「変形性股(こ)関節症」。痛みが取れず日常生活に支障が出る人も多いが、倉敷リバーサイド病院(倉敷市鶴の浦)の川口洋整形外科部長は、幅広い世代に有効な治療法として人工関節手術を積極的に行っている。

 変形性股関節症は大腿(だいたい)骨と骨盤をつなぐ関節が変形し、痛みや歩行困難を伴う病気だ。

 痛みは長年の無理な荷重で、クッションの役割を果たす軟骨や土台となる骨が削れることで生じる。鎮痛剤を服用し炎症を抑える方法もあるが、症状が進行すると痛みは取れにくくなる。

 「軟骨が削れてしまうと、薬では病気の進行は防げない。根本的な治療として人工関節を埋め込む手術を勧めている」と川口部長。

 手術は全身麻酔で約一、二時間。術後数日で歩行を開始し、三週間で退院できる。近年は筋肉や靱帯(じんたい)などの組織をより傷つけない方法が確立され、患者の負担も軽くなっている。

 川口部長によると、人工関節手術の適応年齢は一般的に六十代以降とされているが、同病院では四十代から手術を行っている。

 「六十代まで待っても人工関節の土台となる骨がもろくなったり、痛みを我慢しながらの生活は精神的苦痛を伴う」と川口部長。

 さらに、人工関節の進歩もある。「十―二十年と言われてきた耐用年数が、材質や手術法の改良などで八割以上の人が耐用年数以上持つ。若い患者でも可能になった」と言う。

 同病院では軟骨を通り越し、骨まで削れた重症患者を対象にしており、二〇〇七年は約六十症例を手掛けた。

 川口部長は「手術をしてよかったと言う患者がほとんどなので、今後も症状に応じた治療法を提示していきたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年05月31日 更新)

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