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自閉症児対象の教室10周年 泳ぐ楽しさ伝え好評 NPO法人「育てる会」 ボランティア不足が課題

保護者やボランティアと一緒にプールを楽しむ子どもたち=5月18日

 自閉症児を対象に、NPO法人「岡山県自閉症児を育てる会」(事務局・赤磐市)が月1回開く水泳教室が10周年を迎えた。集団に加わりにくい子どもたちにプールの楽しさを伝える全国的にも先駆的な取り組みとして成長を支えてきた。ただ、ボランティア不足で活動に支障が出ており、協力を呼び掛けている。

 教室は、障害を理由に民間教室への子どもの受け入れを断られた母親の訴えを受け、育てる会が一九九八年十月、赤磐市内の民間プールで開設。二〇〇〇年からはOSKスポーツクラブ岡山(岡山市絵図町)の理解を得て、プール一面(二十五メートル、六コース)を毎月第三日曜日の午後、二時間貸し切りで使う。

 自閉症児の多くは一般の教室ではなじめずに混乱したり、指示を聞けないなど集団行動に適さない面があるとされる。一度水嫌いになると抜け出せない傾向も強く、子どもの状態に合わせて指導できるプール貸し切りの環境が最適という。

 コーチは、障害者スポーツ指導員でプールボランティア・HSS(津山市)の志水孝光さん(53)と政本昌美さん(53)。保護者とボランティアが付きそう。初心者には「腹ばい」「ジャンプ」などを絵にして分かりやすく説明。ビート板に数人がつかまって泳ぐなどコミュニケーションを学ぶ工夫もしている。

 保護者からは「学校のプールの授業を受けられるようになった」「父親と子どもの大切なふれあいの時間となっている」などと好評で、障害者大会で好成績を収めた子もいる。

 五月十八日には小学生から二十歳まで十六人が参加して百三回目の教室を開催。小学三年の長男諒君(9つ)と通う医師木村文彦さん(41)=倉敷市二子=は「怖がっていた水に慣れ、できることが増えてきた。上達するとうれしそうで、成長につながっている」と話す。

 ただ、運営に欠かせないボランティアは大学生ら四、五人を確保しているだけで、特に初心者向けのコースで、より丁寧なサポートができないのが課題。事務局も「付いてきた泳ぐ力を十分に伸ばしてやりたいのだが…」と悩みを漏らす。

 鳥羽美千子代表は「泳げなかった子が少しずつ水を楽しみ、顔をつけ、泳げるようになる、という成長のドラマに接し、これまで続けられた。ぜひ、みなさんの力を貸してほしい」と話している。

 ボランティアの資格は問わない。自閉症児の参加(一回当たり二千円)も受け付けている。問い合わせは、育てる会(086―955―6758)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年06月03日 更新)

タグ: 健康福祉子供

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