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夜尿症「アラーム療法」臨床試験 岡山大病院・上杉助教 治療用下着開発目指す

上杉達也助教

 5、6歳を過ぎても、おねしょを繰り返す夜尿症の治療法を探るため、岡山大病院(岡山市鹿田町)泌尿器科の上杉達也助教は、尿をセンサーで感知して知らせる「アラーム療法」の臨床試験を始める。夜間、ぼうこうにためられる尿量を増やすとされる同療法の有効性を詳しく検証するとともに、治療用のアラーム付き下着開発も目指す。

 夜尿症の国内の患者は六歳―十五歳で五十万人と推計されている。明確な原因は不明で、治療には尿量を減らす薬物療法もあるが、服用を中止すると元に戻ることが多い。

 下着にセンサーを付け、ブザーでおねしょを知らせるアラーム療法は、繰り返し就寝から目覚めさせることで、ぼうこう容量が増えて治り、再発もしないことが米国での統計調査で分かっている。しかし、既製品のアラームは下着に固定しにくかったり操作しにくいなど、使い勝手の悪さから浸透していない。

 上杉助教は、尿が漏れないように介護施設などで使われているセンサー付きのおむつを利用。岡山大病院の夜尿症外来を訪れる八歳―十五歳の十四人に三カ月間着用してもらい、おむつの重さでぼうこう容量を測ったり、おねしょをする時間帯の変化などを調べる。

 上杉助教は「夜尿症はいずれ治るという認識から研究は少ないが、自尊心を損なうなど子どもには大きな問題。効果を実証できれば、おむつへの抵抗も和らぐはずで、将来は夜尿症専用の下着を作って積極的な治療を行いたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年06月08日 更新)

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