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飲み過ぎは歯周病のもと 岡山大病院確認 肝機能低下が影響

山本龍生講師

 お酒の飲み過ぎが歯周病を引き起こすことを、岡山大病院の山本龍生講師(予防歯科)らの研究班が二十日までに、ラット実験で確認した。アルコールの関与は以前から指摘されてきたが、肝機能低下で生じた活性酸素が歯茎などを傷めるメカニズムを科学的に解明した。

 歯科では最大規模となる国際歯科研究学会(本部・米国)の学会誌で発表した。

 研究班は、アルコールで溶かした餌を二カ月間投与し、ラットをアルコール性肝炎の状態にした。歯茎内側で歯を支える歯槽骨をみると、アルコールを与えなかったラットより二〇〇マイクロメートル(マイクロは百万分の一)、人間に換算すると二ミリ短くなっていた。

 さらに、歯茎の状態を細胞レベルで調べると、細胞が破壊された時に生みだされる特殊な物質「8―OHdG」が健康なラットの一・七五倍に上った。

 細胞が破壊されるのは体内の活性酸素が原因とされ、研究班は「肝機能低下で異常に増えた活性酸素が全身を循環し、歯茎にも影響を及ぼす」と結論付けた。

 山本講師は「過度なアルコール摂取だけでなく、糖尿病や喫煙も歯周病発症のリスクを高める。生活習慣病予防は歯周病対策につながる」と話している。


予防面からも評価

 予防歯科が専門の宮崎秀夫・新潟大大学院医歯学総合研究科教授の話 アルコールの過剰摂取は歯周病の発症リスクとなることを明確に証明しており、学問的だけでなく予防の観点からも評価される研究だ。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年06月21日 更新)

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