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パーキンソン病 「適度な運動」で改善 岡山大大学院教授ら確認

伊達勲教授

 岡山大大学院の伊達勲教授(脳神経外科)らの研究グループは、手足の震えなどを引き起こすパーキンソン病の症状改善に、適度な運動を継続することが効果を持つことをラット実験で確認した。パーキンソン病に対するリハビリテーションの有効性を裏付ける成果として、京都市で開かれる日本分子脳神経外科学会で三十一日に発表する。

 パーキンソン病は、神経伝達物質ドーパミンを放出する脳の中の神経細胞が何らかの原因で壊れることで運動機能障害を起こす。薬物療法や脳深部に電気刺激を与える手術療法に加え、リハビリ治療も行われている。

 伊達教授らは、生後十週のラット大脳基底核の「線条体」に神経毒を注入し、左側の前後脚に障害を持つ慢性期のパーキンソン病を再現。四週間後にベルトコンベヤーが動くトレッドミルの上で一日三十分間の運動を週五日の頻度で行わせた。

 十二週間後に効果を確認すると、何も運動をさせなかったラットに比べ、自発的に左脚を使う頻度がほぼ正常化。パーキンソン病の重症度と相関があるとされ、薬物投与によって誘発される回転運動の頻度を見る実験では、運動数が四分の一程度まで減少するなどの改善が見られた。

 研究に携わった安原隆雄助教によると、同疾患へのリハビリ治療効果とメカニズムを調べた研究はほとんどないという。安原助教は「適切な運動が神経の保護や再生に効果を上げていると考えられる。今後、パーキンソン病に対してリハビリが有効に機能するメカニズムをさらに明らかにしたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年08月30日 更新)

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