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同じ脳死ドナーから移植した心臓、肺、腎臓 機能不全に相関関係 岡山大病院大藤助教ら調査

大藤剛宏助教

 同じ脳死ドナー(臓器提供者)から患者に移植された心臓や肺、腎臓いずれかの機能が働かなくなった場合、別の患者に移植された他の臓器も高い確率で機能不全に陥ることが、岡山大病院呼吸器外科の大藤剛宏助教(肺移植チーフ)らの調査で分かった。

 脳死によって、ドナーの体内で何らかの危険因子が働いていると考えられ、各臓器の機能不全には相関関係があることを示す重要な成果。世界で最も権威のある米移植専門誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・トランスプランテーション」の九月号に掲載された。

 大藤助教らは、オーストラリアとニュージーランドの移植にかかわる公的機関の協力を得て、二〇〇〇年から〇五年にかけ、脳死ドナー二百二人と移植を受けた七百二十三人(心臓百十四人、肺二百三十一人、腎臓三百七十八人)の状態を追跡調査した。

 その結果、心臓移植後に機能不全となった患者と同じドナーから肺の提供を受けた人の39%で、臓器が働かなくなっていたことが判明。肺移植後に機能不全が起きた患者と同じドナーから腎臓の提供を受けたケースでも38%に上った。

 移植は感染症や外傷の有無といったドナー評価を経て実施されるが、これらをクリアしても機能不全は発生しており、事前予測は極めて困難。ドナーの体内で炎症にかかわるタンパク質「サイトカイン」やアポトーシス(細胞死)が関与しているとの説もあるが、はっきりしたことは分かっていない。

 一般的に心臓、肺、腎臓と虚血時間の許容性が低い順に移植が行われることから、大藤助教は「移植直後の心臓の状態を肺や腎臓の移植施設に伝えることで、臓器の機能不全を未然に防ぎ、移植の成功率向上に寄与できる可能性がある」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年09月27日 更新)

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