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乳がん検診 岡山県内の受診率低迷 06年度9.3%で全国38番目

乳がんの早期発見に有効なマンモグラフィー。都市部を中心に検診の周知や態勢の充実が急がれる

 各市町村が実施する乳がん検診の受診率(40歳以上)が低迷している。2006年度は岡山県全体で9.3%にとどまり、全国では38番目。視触診とマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)併用検診のみをカウントするようになった国の算定方法変更が主な要因だが、2%台の岡山市など都市部の低さが目立っており、検診機会の充実など有効な対策が求められている。10月は乳がん月間―。

 「私は絶対、乳がんにはならないと信じ込んでいた」。岡山市の女性=40代=は、乳がんと診断された時のショックが忘れられない。

 03年春ごろ、乳頭にかゆみを感じて皮膚科を受診したが症状は一向に治まらなかった。04年4月、乳腺専門医の診察を受けて直径5センチの 腫瘍 ( しゅよう ) が見つかった。

 乳房は全摘したが今も療養が続く。「以前は検診を恥ずかしく思っていたし、育児も忙しかった。今となっては1度も検診を受けなかったことが悔やまれる」

 乳がん検診の受診率は、05年度まで視触診のみの受診者を加えていたこともあり、県全体でほぼ20%台を維持していたが、06年度は10%を切り、全国順位も05年度の25位から大きく後退した。

 各自治体は「30歳以上は年1回の視触診、40歳以上は年1回の視触診とマンモグラフィー併用」とする県の指針を踏まえて実施。これに対し、国の指針は「40歳以上に隔年の併用検診」としており、県健康対策課は「枠組み自体は国よりも進んでいる」と説明する。

 半面、都市部では受診率の低さが際立っている。06年度は美咲町(68・1%)など県北を中心に6市町が50%を超えたのに対し、岡山市2・7%、笠岡市3・7%、総社市6・4%、倉敷市9・4%など7市町が一けた台。

 川崎医科大の園尾博司教授(乳腺甲状腺外科)は「都市部は集団検診より個別検診が主流だが、マンモグラフィーのない医療機関もある。視触診で異常なしと診断されたら、別の医療機関に行ってまでマンモグラフィー検診を受ける人は限られる」と指摘する。

 受診率アップに向け、県は07年から美容室の利用客にちらしで検診をPR。県放射線技師会をはじめ各団体も無料検診などを通じて周知に努めているが、個々の活動は限られる。

 県の12年度までの健康づくり指針「健康おかやま21セカンドステージ」では、一般企業などが個別に行うケースを含めた乳がん検診の受診率(40歳以上)を50%以上とする目標を設定。だが、最新値(04年)は37・2%にとどまり、県を含めた各自治体がどれだけ有効な施策を打ち出せるかが目標達成の鍵を握る。

 乳がん患者でつくる「あけぼの岡山」の宮本絵実代表は「女性自身が検診の重要性に気付いてもらうことが大切」とした上で、「休日に検診日を設けるなど、会社勤めや子育て中でも女性が気軽に足を運べる態勢を整えてほしい」と訴えている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年10月13日 更新)

タグ: がん健康女性

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