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輪番で夜間診療 大病院の負担分散化 岡山・御津医師会が11月からプロジェクト

 岡山市一宮、津高地区と旧御津郡内の医師で構成する御津医師会(47機関89人)は11月から、輪番制で夜間診療に対応する制度を柱とした「地域の医療現場を守るプロジェクト」を始める。大規模病院に集中しがちな時間外患者の受け皿を整えることで、負担の分散化を狙う。

 地元町内会と連携し、適切な受診行動を促す講座なども展開。同医師会は「地区の医師会と地元組織の連携は全国的にも珍しいのでは」としている。

 輪番制は、同医師会の11診療所が担当。平日午後6時半―10時に、一宮地区と津高・御津地区でそれぞれの当番が患者を受け入れる。専用の携帯電話に連絡すれば、当番医につながる仕組み。

 岡山赤十字病院が12月から導入する、夜間や休日に受診した軽症患者からの特別料金(3150円)徴収制度にも対応。同医師会の当番医を受診した患者に対し、必要に応じて紹介状を出す。同病院に紹介状を持参すれば特別料金が加算されず、患者の負担軽減にもつながる。「総合病院が重症者に専念できる環境をつくりだす一助になれば」と駒越春樹副会長。

 プロジェクトの「社会教育」プログラムでは、岡山市一宮地区、津高地区の2連合町内会と協力。各町内会の回覧板で輪番制を周知するほか、乳幼児の保護者らを対象にした医療ミニ講座で症状に合わせた医療機関の選び方をアドバイスするなど、適切な受診につながる啓発に努める。30日、同医師会と両連合町内会が協定を結ぶ。

 医師が病気やけがなどで休診せざるを得ない場合、別の医師を派遣するプログラムも実施。外来診療で緊急 蘇生 ( そせい ) が必要な事態が発生した時に近隣の医師が駆け付ける制度は、年内にも始める。

 菅波茂会長は「医師同士だけでなく、地域住民とも信頼関係を築き、崩壊が懸念される地域医療を守る。今回の取り組みがモデルケースとなり、全国に波及することを期待したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年10月30日 更新)

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