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腎臓タンパク質・コレクトリン 高血圧発症に関与か 岡山大・和田講師ら発表

和田淳講師

 岡山大病院腎臓・糖尿病内科の和田淳講師らの研究グループは、腎臓の集合管細胞にあるタンパク質・コレクトリンが、食塩(塩化ナトリウム)を多く取ると血圧が高くなる「食塩感受性高血圧」の発症に関与している可能性を見いだした。新たな治療法の開発につながる成果として、18日付の米医学誌「サーキュレーション」で発表した。

 尿を生成する腎臓は尿細管や集合管などで構成され、集合管はナトリウムと水分を再吸収する働きを担う。

 塩分不足で血圧が低下すると、腎臓や血液中にあるアルドステロンなどのホルモンが活性化し、ナトリウムを再吸収して血圧を上昇させる。一方、塩分を過剰に摂取すると働きを弱め、血圧を下げている。

 和田講師によると、一般に塩分を多く取ると高血圧の症状が出るが、中には高くならない人がいた。食塩感受性高血圧の患者にはホルモンが正常に調節されていても高血圧になるケースがあり、その原因は不明だった。

 コレクトリンは和田講師らが2001年発見。昨年ラットを使った実験で、食塩を多く与えるとホルモンは抑制されるのに、集合管細胞内でコレクトリンが増えて多くのナトリウムが体内に戻され、高血圧状態が起こることを突き止めた。

 高血圧の治療は主にホルモンの働きを抑える降圧薬を使うが、食塩を多く摂取すると効果が十分表れない患者がいた。和田講師は「コレクトリンがどのように関与しているのか研究を続け、効果的な治療法の開発につなげたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年11月19日 更新)

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