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救急患者3割減 岡山赤十字病院 軽症特別料金導入から2週間

救急外来の軽症患者から特別料金の徴収を始めた岡山赤十字病院

 岡山赤十字病院(岡山市青江)が、夜間や休日などに救急外来を受診した軽症患者に、一律3150円を負担してもらう特別料金(時間外選定療養費)制度導入から2週間。同病院によると、救急外来患者数は4―9月に比べ約3割減り、大きな混乱も起きていないという。「重篤患者の治療に専念する」環境づくりは、まずは静かに滑り出した格好だ。

 「特別料金が必要になる場合がありますが、よろしいですか」。受診前の患者に、同病院の受付担当職員が注意を呼び掛ける。

 特別料金徴収を始めた1日午前零時から15日午前8時半までの時間外診療時間(土、日、祝日と平日午後5時10分―翌日午前8時半)の患者総数は1110人。受診前に立ち去ったり、電話で問い合わせた上で断念したケースは計21件だった。「周辺病院に流れたという報告もなく、大きな混乱にはつながっていない」と言う。

 特別料金は、24時間対応の救命救急センターはもちろん、200床以上の中・大規模病院としては岡山県内初の試みだ。

負担者は4割

 導入後の1日当たりの救急患者数は74・0人。今年4―9月(103・3人)よりもおよそ3割少ない。開始前15日間(11月16―30日)と比べても約15%減った。

 實金健・救命救急センター長は「“コンビニ受診”的な軽症者が減り、重症患者への治療体制の改善につながりつつある」と言う。

 特別料金を負担したのは、40・2%にあたる446人。クレームもほとんどなく「制度案内のため、事前配布したちらしなどの効果では」とみる。

「仕方がない」

 料金を払った患者の反応はどうか。

 「(制度を)知っていたが、寮で預かる生徒。万が一を考え連れてきたが、高いですね…」。頭部をけがした中学生男子に付き添った男性教諭は閉口気味。嘔吐(おうと)症状の小学生女子を連れてきた岡山市の母親(38)は「高く感じるが、子どもが病気になれば躊躇(ちゅうちょ)しない。病院に来れば安心できる」とした。

 自身の病気で訪れた岡山市の40代女性は「仕方がない。(趣旨は)理解できる」と話した。

どこで線引き

 一定の効果を見せる特別料金制度。だが、これだけで医師の負担が十分に軽減されるわけではない。

 制度対象外となった6歳未満児の患者数は導入前と同じ水準で推移しており、今後、インフルエンザが本格的に流行すれば、小児救急の“パンク”も予想される。

 重症と軽症をどこで線引きするのか、との懸念も消えない。同病院では1日以降、救急患者の1割に当たる約110人に対し入院措置を取った。近藤捷嘉院長は「少しでも疑わしい場合は、正規の診療時間まで院内で様子を見るよう医師に徹底している。今後も適正な運用を心掛けていく」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年12月16日 更新)

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