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動脈硬化の新検査キット 早期診断へ期待 岡山大大学院・松浦准教授開発 

松浦栄次准教授

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の松浦栄次准教授(51)=病態生化学=は、動脈硬化の原因物質・酸化LDL(低密度リポタンパク質)が血中で生成された際にできる2種類の抗体を測定する検査キットを、日米の医薬品メーカーと共同開発した。

 血中の悪玉コレステロールなどを測る現状の検査より、短時間で簡単に診断できる。松浦准教授は血中の酸化LDL量を測定するキットを2005年に開発しており「複数の検査により、精度が向上し、動脈硬化の早期発見、治療につながる」としている。

 酸化LDLは油分を含み、血管壁にたまると血管が狭まったり伸縮機能が低下し、動脈硬化の原因となる。松浦准教授は酸化LDLに対し、病気を治癒したり病気を誘導する2抗体に着目した。

 医学生物学研究所(名古屋市)、米コルジェニクス社と開発した検査キットは、患者から採った微量の血液と別の特殊な人工抗体を反応させて抗体量を測定。3時間後に液の色が変化し、抗体が多ければ黄色が濃くなる仕組み。

 米国では既に医薬品の認可を取得し、欧米で販売。国内では認可を目指し、岡山大病院などの医療機関で臨床評価している。

 松浦准教授は「動脈硬化を防ぐワクチン作りには、酸化LDLによって発生した抗体量の把握が不可欠。検査キットを使えば抗体を簡単に測定でき、将来的なワクチン開発にもつながる」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年02月18日 更新)

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