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受精卵取り違え 複数移植は23人 香川県立中央病院 全例倫理規定示さず

 香川県立中央病院(高松市)での受精卵取り違えをめぐり、同病院は25日、川田清弥医師(61)が「受精卵移植は原則1個」とする日本産科婦人科学会の倫理規定に反する受精卵移植を23人(26-46歳)に対し計28回行っていたと発表した。

 川田医師は、胎児・妊婦にリスクがある多胎妊娠をなくす趣旨の倫理規定の存在は知っていたが、全ケースで患者に伝えておらず、「移植個数は3個まで」との旧規定に沿った説明書を患者に示していたことも判明した。

 新たな倫理規定が示された2008年4月から今月24日までに受精卵移植を受けた70人(26―47歳)を調査。他人の受精卵が子宮に戻されたとして人工中絶した20代女性を含む23人全員が3個の受精卵を2回に分けて移植されていた。

 このうち、妊娠は11人で、3人が出産。2人が双子で三つ子はいなかった。双子のうちの3人は体重2500㌘未満の低出生体重児だった。現在妊娠中は6人、流産は1人。

 また、川田医師が取り違えの疑念を病院に報告した後の08年11月、同12月にも計2人に複数個の受精卵移植を行った。

 報告を受けた松本祐蔵院長は、川田医師に倫理規定に沿った受精卵移植を行うよう口頭で注意していた。

 会見で松本院長は「倫理規定を重要なものと受け止めていなかったようだ」と話した。

 病院は、複数個の受精卵移植と流産や低出生体重児の出産との直接の因果関係はないとみている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年02月26日 更新)

タグ: 女性

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