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独自開発ウイルス製剤併用でがん遺伝子治療 岡山大大学院教授らが臨床研究申請

田中紀章教授

藤原俊義准教授

 岡山大大学院の田中紀章教授(消化器・腫瘍(しゅよう)外科)と同大病院遺伝子・細胞治療センターの藤原俊義准教授(同)らは23日、がん細胞だけを死滅させる同大開発のウイルス製剤「テロメライシン」と放射線治療を併用した遺伝子治療の臨床研究を同大病院に申請する。同ウイルス製剤の早期実用化を目指すとともに、より有効ながん治療法を確立する狙い。最終的に国の承認を経た後、3年かけて実施する。

 テロメライシンは既に米国での臨床試験で安全性が確認され、一部の患者で腫瘍の縮小が認められた。マウスにヒトの肺がん細胞を組み込んだ同大の実験でも、テロメライシンと放射線を併用した場合、6匹中3匹で腫瘍が消滅したという。

 臨床研究では、頭頸部(けいぶ)、食道、肺の悪性腫瘍の患者を対象に、実際にどういう種類のがんに効果が高いかを見極める。テロメライシンを患部に注射後、通常の放射線治療に使われる総線量60グレイの放射線を6週間にわたって照射。この間、18日目と32日目にテロメライシンを追加投与する。

 患者には同じ濃度を保ち、段階的にウイルス量を100億個、1000億個、1兆個と上げていく。当面12人を目標に、最大で24人とする計画。ウイルス製剤(1ミリリットル)は、同大発ベンチャーのオンコリスバイオファーマ(東京)が提供する。

 藤原准教授は「ウイルス製剤は安全性が確認され、放射線治療との併用も副作用は少ないと考えている。早期実用化に向け、新たな臨床試験の実施につなげたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年03月23日 更新)

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