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前立腺がん新遺伝子治療 岡山大病院が臨床研究を承認 公文裕巳大学院教授ら実施

公文裕巳教授

 岡山大が発見したがん抑制遺伝子「REIC」による前立腺がんの遺伝子治療の有効性を検証するため、同大大学院の公文裕巳教授(泌尿器病態学)らが申請していた臨床研究が6日、同大病院から承認された。国の承認を経て早期の治療開始を目指す。

 同研究は、ホルモン療法が効かなくなった患者(A)群と、前立腺がんの摘出手術後も再発リスクが高いと考えられる患者(B)群に実施。REICを組み込んだウイルス製剤(1ミリリットル)を患部に注射し、副作用の有無や治療効果を見る。

 A群は初日と4週間後、B群は初日と2週間後に同製剤を投与。8週目にA群は効果を判定、B群は病巣を摘出する。対象は両群とも12―18人。患者には同じ濃度を保ち、段階的にウイルス量を100億個、1000億個、1兆個と上げていき、最も安全で効果的な濃度を調べる。

 REICは2000年に同大が発見。がん細胞を選択して死滅させる働きと免疫活性化の機能を持つ。これまでに前立腺がんを発生させたマウスに投与、腫瘍(しゅよう)の消滅や大幅な縮小が確認されている。

 公文教授らは国内の申請とは別に、米国での臨床研究を今年中に開始するため、米食品医薬品局(FDA)と協議中。公文教授は「REICを体内に投与するのは世界で初めてだが、大きな問題はないと考えている。着実に実施し、早期の創薬につなげたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年04月07日 更新)

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