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がん免疫療法 改良ワクチン効果期待 岡山大グループ 臨床試験スタート

中山睿一教授

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の中山睿一教授(腫瘍免疫学)らの研究グループは、改良型ワクチンによるがん免疫療法の臨床試験を始めた。東京大、大阪大と協力して9人のがん患者に投与し、効果と安全性を検証する。

 体内細胞が変化したがん細胞は“異物”と認識されにくく、増殖する。同免疫療法は、がん細胞に存在する特殊なタンパク質「NYーESOー1」をワクチンに使うことで免疫力を高め、がん細胞を攻撃。がん細胞を破壊する「キラーT細胞」と、その働きを高める「ヘルパーT細胞」を体内で増殖させ、がんを減らす。

 手術などでは治療効果が見込めない進行性の食道、肺がんなどの患者に2週間おきに計6回皮下注射する手法で、3大学の患者3人への投与を4月から始めた。来年3月末までに検証を終える。

 研究グループは2004年からタンパクワクチンで臨床試験を開始。07年、20個のアミノ酸からなるペプチドを用いたワクチンで安全性や一定の治療成果を確認した。今回は、30ー32個のアミノ酸でなる4種類の複合ペプチドを使用する。

 中山教授は「性質の異なるペプチドを組み合わせることで、幅広い患者に高い効果が得られるはず。迅速に検証し、早期の実用化につなげたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年05月15日 更新)

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