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のど冷却脳低温療法 月内にも臨床研究着手 岡山大病院・武田講師ら

武田吉正講師

 岡山大病院の武田吉正講師(麻酔・蘇生(そせい)学)らは6月中にも、重い脳障害を受けた患者の脳を冷やして神経細胞の保護・回復を図る「脳低温療法」で、のどを集中的に冷やして脳の温度を下げる咽頭(いんとう)冷却と呼ばれる手法の有用性に関する臨床研究に乗り出す。

 脳低温療法は頭部外傷や脳血管障害で脳の損傷が激しい患者の体温や脳の温度を33度程度に下げ、神経細胞の破壊を食い止める。発症後8時間までは有効性が確認されており、全身や頭部を冷やす手法などが救急現場で用いられている。

 咽頭冷却は、内部に冷却水を循環させるチューブをのどに入れ、脳に向かう血液を冷やす方法。武田講師らはサルを使った心肺蘇生時の実験で、脳の温度が10分間で2度下がることを確認している。

 臨床研究は心筋梗塞(こうそく)や窒息などによって心肺停止状態となった患者300人が対象。人工呼吸器による気管挿管と同時に治療を始め、2時間かけてのどを冷却。脳の温度がどの程度下がるかを見る。

 さいたま赤十字病院(さいたま市)や大阪府立急性期・総合医療センター(大阪市)など全国12施設で実施。岡山県内では津山中央病院(津山市)が参加する。期間は来年3月末まで。

 武田講師は「治療が早ければ早いほど効果が期待できる。集まったデータを検証し、実用化につなげたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年06月05日 更新)

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