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義歯土台インプラント治療 骨作る技術開発 岡山大大学院グループ 移植不要で治療期間短縮

窪木拓男教授

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の窪木拓男教授(インプラント再生補綴(ほてつ)学)らの研究グループは、義歯の土台として歯茎(あご)に埋め込むインプラント治療で、特殊なタンパク質を加えて周囲に新しく骨を作る技術を開発した。あごの骨を補強する骨移植が不要となり治療期間が大幅に短縮できるほか、将来は骨折などの骨再生治療に応用が見込めるという。

 企業との共同開発。2011年初めにも臨床治験を開始し、5年をめどに薬剤の商品化を目指す。

 インプラント治療を行う患者は、差し込む歯茎の骨が歯周病などで不足している場合が少なくない。補強が必要な場合はあごや腰の骨を削って移植するが、患者の体に負担が大きく、固定に半年以上かかる。新技術では動物実験で2週間で骨が形成され、「歯が抜けて細くなったあご自体の修復もできる」(窪木教授)という。

 医療技術開発の「オステオファーマ」(大阪)と歯科器材メーカー「ジーシー」(東京)との共同開発。オステオ社がドイツ・ヴュルツブルク大との研究で骨形成を助けるタンパク質「BMP―2」を大腸菌で大量培養するのに成功したのを受け開発に着手した。

 窪木教授らは、幅1センチ、深さ5ミリに削ってくぼませた犬の下あごにインプラントを埋め、周りにBMP―2の水溶液を含ませた人工の粉を入れたところ、約2週間で削られた骨が再生。さらにBMP―2が吸着しやすいように表面を特殊加工したインプラントを作り、ラットの背中に植えると骨のない部分に新しい骨ができ、他の骨再生治療に転用可能なことも確認した。

 今冬にもミニブタの実験で安全性を確かめた後、岡山大倫理委員会に申請し、臨床治験を開始する計画。窪木教授は「さまざまな分野の治療に広がりのある骨再生技術。臨床治験を成功させ、体に負担の少ない治療を実現させたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年09月26日 更新)

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