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岡山大病院 漢方臨床センター開設 処方広め教育強化へ環境整備

岡山大病院

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は、漢方医学に関する臨床と教育の強化を目的とした「漢方臨床教育センター」を開設した。近年、漢方の効用が改めて注目され、医師も処方するケースが増えている。適切な使い方を院内で広めるほか、医療関係者や医薬学生が体系的に学べるよう環境整備に力を入れる。

 同大病院では、開腹手術後の腸閉塞(へいそく)の予防や治療のため、ニンジンやサンショウといった生薬が含まれる「大建中湯(だいけんちゅうとう)」を処方するなど、複数の診療科が漢方薬を取り入れ使用頻度も高くなっている。

 センターの開設は今月1日で、漢方医学と関わりの深い総合内科、産科婦人科、薬剤部が中心となって運営。他の診療科の医師らと連携し、患者の状態や症状に最も適した漢方薬の処方を広めていく。

 教育面での充実を図るため、既に行っている漢方医学全般の勉強会(月2回)や専門家を招いた講演会(年2回)への参加を広く院内や学生に呼び掛け、内容によって院外の医療関係者にも対象を広げる。今後、勉強会の回数を増やすことを検討するほか、漢方専門医の資格取得も後押しする。

 漢方医学を巡っては、2001年、医学生が卒業までに最低限履修すべき教育内容をまとめた文部科学省のガイドラインに盛り込まれ、全国の大学医学部で教育が本格化。岡山大でも4年次に9コマ(1コマ60分)の履修が必修となっている。

 漢方専門医で、センターの実務を担う同大病院総合内科の植田圭吾医師(岡山大大学院准教授)は「西洋医学だけでは対応できない病気に漢方医学が必要とされるケースは少なくない。理論や方法論をしっかり学んで実践、教育ができる医療者を増やし、より充実した医療の提供につなげたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年11月29日 更新)

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