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周術期管理センター運用本格化 岡山大病院 診療科の枠超えケア

手術前から患者にリハビリなどのアドバイスをする理学療法士(左)

 食道がんなど大きな手術を受ける患者へのケアを診療科の枠を超えて総合的に行う岡山大病院(岡山市北区鹿田町)の「周術期管理センター」の運用が本格化している。手術件数が増加する一方で入院期間の短縮化が進む中、リハビリや栄養指導など各分野の専門職が手術前からかかわり入退院をスムーズにする役割を担っており、3年後をめどに全手術に拡大する計画という。

 専門家、手術前から関与 患者の不安和らげる

 同センターは昨年9月に開設。肺がん、胸腺腫など呼吸器疾患の手術を対象に始め、今年6月、体への負担が大きい食道がんにも拡大した。これまで計約200人の手術で活用された。

 外来棟に設置されたセンターで看護師が患者の健康状態や病歴、生活状況などを聞き取った後、リハビリ担当の理学療法士、栄養指導する管理栄養士、薬剤師、歯科医・歯科衛生士と面談する。

 理学療法士は、体力をつける運動や手術の傷が痛む時の呼吸法などを指導。歯科医は肺炎予防のための口の衛生状態、気管挿管する時に歯の損傷を防ぐプロテクターの必要性などを調べる。

 こうしたチェックは従来、手術の担当医が個々に必要性を判断していた。「各専門家の目が入り見逃しがなくなる。手術前に止める必要がある薬には健康食品も含まれ、薬剤師が初めて服用に気付くこともある」(同センター)という。

 患者の不安感を和らげる役目もある。肺がん手術を前に同センターを訪れた吉村亀良(きよし)さん(67)=尾道市因島三庄町=は「手術後に趣味のスキーが続けられるか気になる。どこにどんな傷ができ、どんな痛みが起きるのか分かった」と話す。

 昨年度の手術件数は8133件で2004年度から2割近く増加。一方、平均在院日数は国の医療費抑制政策で04年度の20・7日から本年度(7月末)は15・7日と約5日間短縮している。

 森田潔病院長は「大学病院は診療科ごとの専門家集団ゆえに横の連携が希薄になりがち。看護師を増やすなど、センター機能を強化したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年10月17日 更新)

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