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第4回 岡山労災病院 人工関節センター 手術後の痛み 大幅に軽減

ナビゲーションを使った人工関節の手術

2007年の人工関節症例数(表)

難波良文センター長

 ビデオ映像には、人工関節の手術後三日から一週間でつえをつきながら歩き、次は一、二週間でつえなしでスタスタと歩く患者の姿があった。撮影したのは、執刀した人工関節センターの難波良文センター長。患者は従来の手術方法より大幅に短い約二週間で退院した。

 「手術後の痛みがない治療に力を入れている」と難波センター長。かつては術後一、二週間は痛みでベッドから離れられず、入院は二カ月程度必要だった。痛みが大幅に軽減され、早期のリハビリ開始と退院―。これが可能になったのはMISという方法。高度な技術と経験が必要だ。難波センター長はそのスペシャリスト。岡山県内外から治療に訪れる。

 対象は、 股 ( こ ) 関節や 膝 ( ひざ ) 関節の骨を覆う軟骨がすり減り、痛みが生じる変形性関節症。このほか関節リウマチ、 大腿 ( だいたい ) 骨頭 壊死 ( えし ) 症、外傷性関節炎など。

 人工関節手術は二〇〇五年が六十九例、センターを開設した〇六年には百五十三例と倍増。〇七年は一気に二百五十四例に増え、MISは九割超の二百三十六例だった。「MISの症例数は国内でトップクラス」という。

 人工股関節手術は皮膚を十五―二十センチ切開し、筋肉を切って人工関節を設置していた。MISは十センチ以下にとどめ、可能な限り筋肉を切らない。人工膝関節手術は従来の二十センチが、MISでは十二センチ以下(片側置換型は八センチ)。

 正確な手術に向け、術前に三次元CTでシミュレーションをし、最適な大きさを決める。術中は仮の人工関節を置き、レントゲン撮影で確認したうえで本物を入れる。

 レントゲン撮影での確認をしなくてもよい「ナビゲーション」も取り入れている。自動車のナビゲーションと同様に、手術の進行を確かめることが可能だ。股関節の場合、骨盤と手術機械にアンテナを立て、事前に撮影した骨盤のCT画像を取り込んだ画面を見ると、具体的な手術個所が分かる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年02月19日 更新)

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