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第4回 岡山労災病院 消化器病センター 外科、内科の診療統合

外科と内科を統合した消化器病センターの大村センター長

 二〇〇六年四月、消化器病センターは消化器外科と同内科が一体化して開設された。院内の中庭に内視鏡室を新設。消化器外科、内科の病棟を統合し、診断から治療までを一貫して行っている。大村泰之センター長は「内科、外科の利点を踏まえた治療方針の検討ができる」とする。

 年間の実績は、内科部門は上部消化管内視鏡検査が三千例、下部内視鏡検査を千二百例、 膵 ( すい ) ・胆道系検査は二百八十例。内視鏡による治療は八百例ある。緊急を要する内視鏡検査は二十四時間対応し、急性 化膿 ( かのう ) 性胆管炎、 閉塞 ( へいそく ) 性 黄疸 ( おうだん ) 、上部・下部消化管出血などが二百例。

 外科手術は年間三百例。うち肝・胆・膵領域の手術は三十例ある。腹腔鏡手術を積極的に行っており、胃がんや大腸がんなど百例。開腹手術に比べ、入院期間の短縮や社会復帰が早いとされ、〇六年にプロ野球監督の王貞治氏が、この方法で胃がんの摘出手術をしたことから注目された。ただ、すべてのケースで適応できるとは言えず「適応できる場合は、治療の選択肢の一つとして示している」(大村センター長)。

 腹腔鏡手術は高度の技術が必要だ。大村センター長は、岡山県内で腹腔鏡手術のパイオニア。日本内視鏡外科学会の技術認定医でもある。厳しい初回試験に合格したのは県内で四人のみだった。

 臓器温存治療に積極的に取り組む。早期胃がんでは、内視鏡ではく離するESDや、病巣からはがれたがん細胞が最初に到達するリンパ節を調べる「センチネルリンパ節生検」で転移の有無を調べ、胃を大きく切ることがないようにしている。直腸がんは新しい術式で人工肛門を避ける機会が増えている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年02月19日 更新)

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