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新型インフル 重症者病床不足を懸念 岡山県内医療関係者

新型インフルエンザの重症患者を治療する感染症病床=岡山市立市民病院

 岡山県内でも本格的な流行が始まった新型インフルエンザ。国の流行シナリオに基づく県の予測によると、県内ではシーズン中600人が肺炎やインフルエンザ脳症など重症化し、生命の危険にさらされるという。これに対し、治療に振り向けられる病床は二十数病院の計160床。医療関係者からは「一度に多くの重症患者が出た場合、ベッドが不足するのではないか」との声も挙がっている。

 厚生労働省が8月下旬に発表した流行シナリオによると、5月から終息までの間に、国民の20%に当たる約2500万人、岡山では約39万人が発症すると試算。6千人が入院を余儀なくされ、その1割が重症化するという。

 県内の治療態勢は、原則として一般医療機関の内科で診察。軽症患者にはタミフルを処方し、自宅療養とする。

 重症患者は人工呼吸器などを備えた病床で入院治療。院内での感染拡大を防ぐため、患者を隔離する必要がある。気圧を外部より低くしてウイルスを閉じ込める感染症専用病床や、結核病床、ICU(集中治療室)内に個室がある岡山市立市民病院(岡山市)、津山中央病院(津山市)などの中核病院が中心となる。

 中でも、インフルエンザ脳症が心配される乳幼児は、岡山大病院(岡山市)、倉敷中央病院(倉敷市)など4病院が連携した態勢を敷く。

 県が実施した調査で、治療が可能と回答した病院は二十数カ所で、病床数は最大計160。神ノ田昌博県保健福祉部長は1日に開いた県新型インフルエンザ対策本部会議で、「対応できる」との見解を示した。

 だがICUは大部屋なことが多く、他の病気の重篤患者もおり、すべてを新型インフルエンザ患者に充てるのは不可能なのが現状。

 県南の総合病院の医師は「ベッドの使用状況は日々変化する。どの病院が何人受け入れられるのかを把握するコーディネーターが必要」と指摘。別の医師は「大病院を専門病棟にすべきだ」とする。

 これに対し、県健康対策課は「ベッドなどの医療資源は限られているが、関係機関が緊密に連携して、柔軟に対応したい。いざとなれば、病院への協力要請を広げる」との構えだ。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年09月10日 更新)

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