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第36回 倉敷広済病院 関節リウマチ治療 炎症の原因を狙い撃ち 生物学的製剤で効果

リウマチ診療をする江澤理事長

 「生物学的製剤が開発され、五年前から保険適用になり、画期的な治療効果が出ています。長い間、関節のはれ、痛みに悩まされていた人が夢のようだと話しています」と江澤和彦理事長。

 リウマチは関節を包む滑膜が炎症を起こし、骨、軟骨を破壊する自己免疫疾患。発症二―三年後が最も骨破壊が激しく、進行すると手足の関節の痛みや変形により、物が持てず、歩くのも困難になる。

 生物学的製剤は化学的に合成した薬ではなく、生物から産生される物質を利用したバイオ医薬品。リウマチの炎症の原因である炎症性サイトカインを狙い撃ちし、症状を改善して骨破壊の進行を止める効果が顕著。早期からの投与が効果的なことも立証されている。

 ◆症状

 関節のはれ、痛み。熱を持つこともある。朝、起きた時の関節のこわばり、体がだるい、疲れやすいなど。

 ◆確定診断

 手指、手首を中心とした多関節の持続性のはれ、朝のこわばりなどの症状があると、血液検査でのリウマチ反応、エックス線撮影などを行い、総合的に診断が下る。

 ◆治療

 薬物療法をする内科医、壊れた関節の人工関節置換術などを行う整形外科医。「双方が一体となって、連携して治療しています」と言う。

 ◆生物学的製剤投与

 積極的に取り組んでおり、総投与症例数は二百例を超え「中国地方では最多」と言う。投与は点滴、皮下注射。一年間の継続治療で症状がほぼなくなる寛解率40%、骨破壊の非進行率60ー70%、骨破壊が改善する骨修復率20%。「これまでは進行を止めるのが難しかったが、今は以前では考えられない治療成績を挙げている」。課題は感染リスクへの対応と治療費が高いこと。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年12月02日 更新)

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