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第38回 倉敷成人病センター 産婦人科 腹腔鏡手術 全国から患者 不妊治療に実績

婦人科疾患の腹腔鏡手術を行う安藤部長

 明るく近代的な建物群。次々と訪れる来院者は女性が目立つ。倉敷成人病センターの特色の一つは、充実した産婦人科の診療だ。

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 安藤正明部長は婦人科疾患に対する 腹腔鏡 ( ふっくうきょう ) 手術の第一人者。通算約五千という症例数は他の追随を許さない。

 この日の手術は卵巣の良性 腫瘍 ( しゅよう ) 。腹部に四カ所の穴を開け、内部を映し出すスコープや術具を挿入。画面を見ながら術具を操作し手早く患部を切除した。

 患者の苦痛が格段に少ない代わりに、医師には高度な技術が求められる。取り残しが許されないがんに対しても用いるのは、腕に絶対の自信があればこそ。熟練の技を頼り、患者は全国から集まる。

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 「目標はあくまで妊娠率100%。皆さん、赤ちゃんを切望して来るのですから」。体外受精センターの本山洋明・倉敷成人病クリニック院長は話す。

 不妊治療に当たる同センターは、開設二十年以上の歴史を持つ。特に力を入れるのは体外受精と顕微授精。いずれも卵子と精子を採取し体外で受精させ、子宮に戻す手法だ。

 採卵のタイミング、受精卵の培養など微妙なさじ加減は長年蓄積されたノウハウによる。妊娠率約40%と高レベルの成績を残す。

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 昨年の出産は千四百十三件。岡山県では断トツ、西日本でも有数の件数を誇る。山崎史行部長は「近隣で産科の閉鎖が相次ぎ、その分うちに集まっている」と明かす。

 産科の常勤医七人、助産師三十七人。昼夜を問わないお産を豊富なマンパワーが支える。どこも人手不足にあえぐ中、経験を求めて若手が集まってくる。

 正常分べんに助産師だけで対応する「院内助産」も検討中。地域のお産を守るべく、一層の体制充実を図る。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年12月22日 更新)

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