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皮膚の若返り(川崎医大 稲川喜一・形成外科学教授) シミ、シワに医薬品や皮下注入物用いた治療法が効果的

稲川喜一・川崎医大形成外科学教授

 いつまでも若さを保ちたいと願うシニア層が増えていく中で、美容医療の分野ではさまざまな医薬品や皮下注入物を用いた若返り治療が開発されています。

 紫外線を長年浴び続けると皮膚にメラニンという色素が増加してシミや色素斑ができます。また、皮膚の細胞は約1カ月で新陳代謝し新しいものと代わってゆきますが、年を取るとその代謝が不規則になったり遅くなったりします。トレチノインはビタミンAの一種で、皮膚の再生を正常化する働きがあります。細胞の代謝サイクルが正常化されることにより、メラニン色素の排出が促され、シミや色素斑が薄くなります。一方、ハイドロキノンはいわゆる漂白剤で、メラニンの産生自体を抑える働きがあります。トレチノインでメラニンを除去し、ハイドロキノンで再合成を防ぐという治療法が効果的です。

 グリコール酸によるケミカルピーリングでは、角質が剥離(はくり)され、メラニンが減少して、皮膚のくすみが取れ、さらにコラーゲンやヒアルロン酸が産生されるためにシワも改善します。また、ニキビに対しても信頼性の高い治療法です。

 加齢による変化で最も目立つ皮膚のたるみとシワに対しては、効果が一時的であるという欠点はありますが、コラーゲンやヒアルロン酸の注入、ボツリヌス毒素の注射が有効です。

 川崎医大病院(086―462―1111)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年09月20日 更新)

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