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高齢者ワクチン接種 岡山県内では 19市町村は個別と集団の併用

施設入所者以外の高齢者を対象にした接種が始まるのを前に、倉敷市が行った集団接種の予行演習=2日

 施設入所者以外の高齢者を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種が17日から岡山県内で一斉に始まる。県によると、全27市町村のうち19市町村が医療機関での「個別接種」と、特設会場で一斉に行う「集団接種」を併用する計画。一方で、個別のみ、集団のみとする自治体もあり、それぞれの地域事情に応じた態勢を敷いている。

 県内の高齢者は約56万人。ワクチンの確保量が限られる中、県内の各市町村は4月中は施設入所者への接種を先行して進めてきたが、政府が大型連休明けからワクチン供給を本格化させるのを受けて対象を広げる。

 県では、地域の診療所などでの個別接種を基本とし、不足部分を集団接種で補完するよう各市町村に提案しており、岡山、倉敷、津山市など19市町村が個別接種と集団接種の併用を決めている。

 県内で最多となる約19万5千人の対象者がいる岡山市は、市内の恵まれた医療資源を生かし、病院や診療所約300施設での個別接種を軸に進める。「よく知ったかかりつけ医で受ける方が市民も安心できる」と同市。集団接種会場としてもJR岡山駅周辺の商業施設を確保し、市民の利便性に配慮した。

 玉野、備前、真庭市と和気町の4市町は個別接種のみで対応する。玉野市は市内の診療所など29施設を用意。集団接種は一度に大人数への実施が可能だが「市内の医療機関に従事者の派遣を頼まねばならず、通常診療への影響を考慮した」として取り入れなかった。

 これに対し、集団接種のみで行うのは瀬戸内市と矢掛、勝央、奈義町の4市町。瀬戸内市は市保健福祉センターを会場に、1日300人の接種を予定する。個別接種を見送った理由について「重篤なアレルギー反応が起きると、小さな診療所では対応が難しいため」と担当者。

 集団接種はかかりつけ医の対応ではない分、会場での予診に時間を要するとして、同市では保健師資格を持つ職員を多く配置。移動手段が限られる人のために会場へのシャトルバスも運行する。

 ファイザー製のワクチンは解凍後に短い期間で使い切る必要があり、離島や山間部のある自治体ではワクチンの管理に頭を悩ませる。笠岡市は本土での接種が落ち着く見込みの7月以降、笠岡諸島にスタッフを派遣し、65歳未満も含めた全島民への接種を実施する予定で、「島に常駐医師がおらず、限られた医療資源で何とかやりくりしていくしかない」とする。

 ワクチン接種を巡っては、県と各市町村が医療従事者の少ない自治体のカバーなどを狙いに、居住地以外の市町村の医療機関でも受けられる態勢を整えている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年05月08日 更新)

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