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「潜在看護師」の復職呼び掛け 県協会、コロナ対応へ人員必要

集団接種会場への派遣に向け県看護協会の講習を受ける潜在看護師ら=12日、岡山市北区兵団

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、岡山県看護協会(岡山市北区兵団)は、資格を持ちながらも出産、子育てなどで離職中の「潜在看護師」の掘り起こしを進めている。潜在看護師がケアに当たる軽症・無症状者向けの宿泊療養施設の入所者が増えていることに加え、17日から本格化する高齢者向けワクチンの集団接種へも派遣が必要なためだ。同協会は「一人でも多くの人に協力してほしい」と復職を呼び掛けている。

 協会は、県が設置する宿泊療養施設で働く看護師の採用や勤務のシフト管理などを担当。昨夏から運用される岡山市の施設では、新たに採用した潜在看護師が2交代16人態勢で業務に当たっていたが、入所者急増で今月に入り2カ所目の施設が同市内に整備されたのを受け、さらに人員を増やし同29人態勢とした。

 それでも、潜在看護師は子育てなどもあってフルタイム勤務が難しい場合が多く「まだ足りない」(協会)のが現状。入所者も重症化しやすいとされる変異株の感染者が主流となる中、容体の急変で1日数人を医療機関に搬送しており、手厚い看護態勢の維持にはあと5~10人必要という。

 潜在看護師は、集団接種会場でも必要とされる。集団接種では自治体と契約する県医師会が病院・診療所に看護師の派遣を要請するが、医療現場も感染拡大で負担が増しており、不足分は協会に依頼し潜在看護師で補う形となる。

 協会は集団接種に向け5月に入り20人を採用し、12日に接種の手順や注意点を学ぶ講習を開いた。岡山市の会場には1日9人程度を派遣する予定で、倉敷市からも同十数人の派遣依頼が来ている。両市以外にも13市町が集団接種を検討しており、複数の会場が同時に開設されれば、必要人員はさらに膨らむと見込まれる。

 募集は、潜在看護師に就職や復職先を紹介する協会のサイト「ナースセンター」を活用。求人案内を出すだけではなく、登録者に電話で直接勧誘もしているが、既に宿泊療養施設と集団接種で合わせて約50人を採用しており、さらなる潜在看護師の掘り起こしは難航も予想される。

 宮田明美会長は「コロナ禍の長期化で疲弊する医療現場の負担を少しでも減らすため、離職中の皆さんの力をぜひ貸してほしい」と訴えている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年05月15日 更新)

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