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接種担う医療従事者の派遣可能に 岡山県など医師会の枠超え支援

岡山県庁

 新型コロナウイルスワクチン接種を担う医療従事者の不足が懸念される中、岡山県と県医師会などが、希望する県内市町村に医療従事者を送り込む仕組みを整えたことが15日、分かった。郡市医師会の枠を超えて広域的に派遣できるようにしたのが特徴。県内では17日に施設入所者以外の高齢者への接種開始を控え、サポート体制を敷くことで早期の接種につなげたい考えだ。

 ワクチン接種を巡って県と各市町村は2月、地域の診療所などでの「個別接種」を基本とし、不足分を特設会場で一斉に行う「集団接種」で補完する方向を確認している。ただ、個別と集団を併用する場合は地域によって打ち手の不足も見込まれ、県と県医師会、希望する15市町がワーキンググループを設けて広域派遣の仕組みを模索していた。

 県や県医師会などによると、地域医療に関する公益事業は県内各地の郡市医師会で実施するのが基本だが、特例的に管轄外の市町村へも医療従事者を送り込めるようにした。派遣の対象は集団接種とし、市町村から要請を受けた県医師会が郡市医師会と連携して対応可能な医療従事者を調整する仕組みで、実際に準備を進めているケースもあるという。

 高齢者への接種については、菅義偉首相が4月23日の記者会見で7月末までに完了させる方針を表明。これを受け、全国の自治体が接種計画の前倒しを進めている。県内では多くの市町村が医療従事者の確保を課題に挙げる一方、当初予定していなかった集団接種実施の検討を始めた自治体もあり、さらなる医療従事者の不足も懸念される。

 県医師会は「まずは郡市医師会の活動をしっかりと支え、どうしても手が回らない場合は派遣調整をしていきたい」と説明。県ワクチン対策室は「接種がスムーズに進むよう、県としてもできる限り協力していきたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年05月16日 更新)

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