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高齢者ワクチン接種開始1週間 県内自治体、7月末完了へ加速化

県内で17日から本格化している高齢者へのワクチン接種=17日、矢掛町

 岡山県内で施設入所者以外の高齢者を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種が始まって1週間が経過した。23日時点の県の集計で1回目の接種を終えた高齢者(施設入所者を含む)は全体の7・0%、2回目は0・5%と判明。県と各市町村は接種の担い手となる医療従事者の確保に苦慮しつつも、政府が目標として掲げる「7月末までの高齢者接種完了」に向けてさまざまな対策を打ち出し、加速化に懸命だ。

 県内の高齢者は約56万人。各市町村ではワクチンの供給状況を踏まえ、4月から施設入所者約5万人を優先して進めており、今月17日からは入所者以外にも拡大して実施。県によると、23日までに1回目は3万9106人、2回目は2819人が終えたという。

 県ワクチン対策室は進捗(しんちょく)について「まだ始まったばかりで、現時点で評価するのは難しい」としながらも、「流行『第4波』で医療が逼迫(ひっぱく)する中、医療機関も最大限取り組んでくれている」と説明、今後のスピードアップに期待感を示す。

 実際、地元医師会の協力を得られたとして接種の完了時期を前倒しするケースが相次いでいる。山陽新聞社が今月10、11日に行った聞き取り調査で7月末完了を「不可能」とした浅口、真庭市は24日の取材に、個別接種を実施する医療機関が接種枠を拡充したことを理由に「可能」と答えた。

 また特設会場で一斉に行う集団接種について、1日当たりの接種数の増加(岡山市)、会場追加の検討(倉敷市)といった対策を進める自治体もある。

 加速化に向けては、県と県医師会などが希望する市町村に対し、医療従事者を地元以外から派遣する支援体制を整備。伊原木隆太知事も県として大規模接種会場を設置する意向を表明している。

 ただ、2月に始まった医療従事者への接種は今月23日時点で、対象者約8万1千人のうち2回接種の終了者が50・7%(4万1212人)と、ようやく半数に達した段階。「医療従事者への接種が進み、感染が収束して医療の逼迫が緩和されれば、高齢者への接種に力を傾けられるのだが…」と同室の担当者は言う。

 一方、10日から県内全27市町村で一斉スタートした予約受け付けは、人口規模が小さい自治体は落ち着きつつあるものの、都市部では依然として混乱が見られる。全高齢者の約半数がいる岡山、倉敷市ではコールセンターへの電話が殺到し、つながりにくい状態が続いているという。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年05月24日 更新)

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