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(2)複合的治療 圧迫療法やマッサージ 入院でセルフケア指導 密接連携で成果 岡山大学病院形成外科と光生病院

リンパ浮腫の女性患者の右脚にリンパドレナージ(マッサージ)を行うセラピスト

 光生病院は、木股教授の指導を受け2010年3月、リンパ浮腫治療センターを設けた。全国でも数少ない入院による「複合的治療」を行い、症状改善の基本となるセルフケアの方法を指導。患者のQOL(生活の質)向上に努めている。

 複合的治療は、長時間の立ち仕事は避けるなどの日常生活指導を加えた複合的理学療法。中心はスキンケア、リンパドレナージ(マッサージ)、圧迫療法、圧迫下での運動療法を4本柱とした治療法だ。

 むくんだ部分は傷付きやすく、乾燥しひび割れることもあり、炎症やリンパ漏になりやすい。このため皮膚を清潔にし、保湿クリームを塗るなどスキンケアに注意する。

 リンパドレナージは、手足に貯留したリンパ液を、マッサージで正常なリンパ管へ誘導する方法。「リンパ管の障害部位を迂回うかいするルートをつくり、むくみを軽減させるわけです」と三宅一正・副センター長は説く。

 まず鎖骨が動くように肩をゆっくり回し、リンパ液を最終ゴールの左・右鎖骨下静脈に流入しやすくする。腹式呼吸をし、深部リンパ管の流れを良くしてマッサージに入る。

 例えば、子宮がん手術などで骨盤内リンパ節が機能せず、左脚に浮腫が起きた場合、リンパ液を左脇の下の腋窩えきかリンパ節に誘導するようにマッサージする。「肌に手を密着させ、皮膚をずらすように動かしていく。硬い所は押して和らげる」

 圧迫療法は、弾性包帯・着衣で圧をかけ、リンパ液の逆流や組織間に水分がたまるのを防ぐ。着衣は、病状に応じて圧迫力、形状の異なる弾性スリーブ、ストッキングがある=図参照。弾性包帯は綿包帯、スポンジ包帯なども使い、巻き重ねる。圧迫した状態で散歩、手の開閉といった運動をすると、筋肉の収縮作用も受けてリンパ液の流れが一層良くなる。

 しかし、圧迫療法やドレナージは自宅で圧の加減、やり方などを誤れば症状が悪化し、急性炎症が出た場合は中止する必要もある。そこで同センターは、6〜20日間の入院で複合的治療とともに、各患者に適したセルフケアの方法を集中指導。11年は48人が入院し全員、患肢のむくみが軽減するなど効果を見せている。

 リンパ浮腫治療センターは「リンパ浮腫は発症すれば、一生付き合っていかなければならない疾患。外科治療の岡山大学病院形成外科と連携し、入院や外来で複合的治療を進め、チーム医療で患者さんのQOL向上に貢献したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年02月06日 更新)

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