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妊産婦メンタルケア 連携に課題 岡山大初調査 医師の6割「困難」

 妊娠・出産や育児などによってメンタルヘルスケアが必要になった妊産婦について、岡山県内で精神科や心療内科に携わる医師らの約6割が産科などの連携先を見つけるのが困難と考えていることが、中塚幹也・岡山大大学院教授の研究グループの調査で分かった。妊産婦を心身両面で支える診療科間の協力体制の充実が求められている。

 調査は、診療科の垣根を越えた連携面の課題を探る目的で昨年初めて実施。精神科か心療内科がある県内の全約140医療機関にアンケートへの協力を依頼。4分の1に当たる32施設の医師、看護師ら234人から回答を得た。

 産科などの連携先を見つけるのが困難と感じているのは、「とても思う」「どちらかといえば思う」を合わせ62・3%を占めた。その理由として「医師同士が顔の見える関係になっていない」「(多忙なため)連携に要する時間をつくるのが難しい」などが挙げられた。

 産科からの患者の受け入れに関し、妊娠・出産の経過に関する情報が「不十分」「少し不十分」としたのは32・3%。「十分」「まあ十分」の56・9%より20ポイント以上低かった。

 妊産婦の診療の難しさ(複数回答)については、「妊娠・出産の経過に伴う薬剤の調整の難しさ」を指摘する声が目立った。妊婦は82・0%で最多。産婦も50・6%と、「出産、育児が精神疾患にどう影響するか分かりづらい」「子育てできるか評価しづらい」の62・7%に次いで多かった。他には「妊娠・出産・育児に関する知識の不足」「妊娠中、子育て中の患者を診る経験が不足」などが寄せられた。

 一方、医師や助産師、保健師ら多職種による長期的支援は約9割が「必要」としており、連携の重要性は十分認識されていることが裏付けられた。

 中塚教授は「産科と精神科のスタッフが合同の研修会を開くなどして緊密に連携する機運を高め、妊産婦を支えていきたい」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年02月01日 更新)

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