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(2)てんかん 倉敷成人病センター小児科部長 天野るみ

あまの・るみ 広島大附属福山高、島根医科大(現・島根大医学部)卒。岡山大小児神経科を経て、2006年から現職。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。医学博士。

 てんかんは、最も頻度が高い神経疾患の一つであり、診断される患者さんはおよそ1%、すなわちわが国では約100万人いると言われています。

 てんかんとは、脳の神経細胞が異常に興奮し、それが広がってさまざまな神経症状を引き起こす発作を繰り返す病気です。3歳以下の発病が最も多く、80%は18歳以前に発症します。

 発作は大きく分けると、全般発作と部分発作に分けられます=表参照

 発作は、おおむね数秒〜数分続き、発作後症状が残ることもありますが、回復するといつも通りの生活にもどることができます。

 小児のてんかんは、発作の持続により脳の発達に重大な影響を及ぼすことがあり、精神・運動・発育・学習の遅れが生じる場合があります。

 そのため、適切な診断と治療が重要になります。診断には、発作の状況を詳しく聞くこと、脳波検査で脳の過剰な発射を確認することが必要です。また、原因を調べるため、頭部MRI検査、血液検査、染色体・遺伝子検査などを適宜行います。

 治療は、まず抗てんかん剤による薬物療法が行われます。毎日規則的に服用し、生活リズムを整えて睡眠不足を避けましょう。また、勝手に服薬を中断しないでください。70〜80%の人で発作は抑えられ、原則的に3年ぐらい発作がみられず脳波が改善していれば、抗てんかん剤の減量・中止が可能です。発作に応じた薬を種類・量ともに十分使っても発作が抑えられない場合には、外科手術を考慮します。

 ただし、てんかんは、いったん診断されるとその後長期間服薬を必要とすることが多いため、初期診断で本当にてんかんなのかどうか、他に治療が必要な原因がないのかを見極めることが大切です。心因性の痙攣(けいれん)様発作や、低血糖など代謝性疾患、失神(血管迷走神経性、心原性、起立性低血圧)などとの鑑別が重要です。

◇ 倉敷成人病センター((電)086―422―2111)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年06月17日 更新)

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