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(4)食中毒 倉敷成人病センター小児科医師 竹迫倫太郎

たけさこ・りんたろう 淳心学院高、琉球大医学部卒。日本鋼管福山病院小児科、水島中央病院小児科を経て、2014年4月から現職。小児科専門医・指導医。

 食中毒とは、人が有害物質の含まれたものを摂取することで生じる健康被害のことを指します。食中毒の原因には病原微生物、自然毒、化学物質等がありますが、ここでは小児に多い病原微生物が原因のものについて述べます。

 食中毒には季節性があり、夏と冬で異なります。夏は高温多湿なため飲食物に付着した細菌が短時間で増殖し、食中毒が発生しやすくなります。代表例としては肉類に付着していることが多いカンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(O―157、O―111等)等が挙げられます。

 また、冬は細菌が増殖しにくい代わりにノロウイルスやロタウイルス(最近は春にピークが移ってきています)が流行します。そして、それらに汚染された手で調理された飲食物を摂取することで、ウイルス性食中毒が発生します。ノロウイルスに関しては、それを体内に保持している二枚貝(特に牡蠣(かき))を非加熱で摂取することによって発症するケースもしばしば見られます(各病原微生物の特徴についてはを参照)。

 症状は腹痛、嘔吐(おうと)、下痢等の胃腸症状が主ですが、風邪症状との区別が困難な場合もあります。このため、過去1週間程度の飲食物の内容と、疑わしい飲食物を摂取してから発症までの時間を調べることが重要です。さらに原因を確定するためには便検査や血液検査等を行うこともあります。

 治療は細菌性の場合は抗菌薬療法、ウイルス性では対症療法が行われます。ただし、腸管出血性大腸菌の場合、小児では腎不全や脳症といった重篤な合併症を引き起こす可能性があるので注意深い観察が必要です。

 食中毒にかからないよう気をつけるべきことは、やはり予防です。予防において大事なことは、病原微生物を(1)食品に付けない(2)増やさない(3)やっつける―の3点です。“調理前の入念な手洗い”“食品の低温保存”“十分な加熱調理”―を習慣づけるよう心掛けましょう。

◇ 倉敷成人病センター((電)086―422―2111)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年08月04日 更新)

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