文字 
  • ホーム
  • 岡山のニュース
  • マイクロサージャリーで全国トップ級 岡山大病院チーム 90%超で成功 24時間体制で患者受け入れ

マイクロサージャリーで全国トップ級 岡山大病院チーム 90%超で成功 24時間体制で患者受け入れ

右手の指切断時のレントゲン写真(上)とマイクロサージャリーでつながった指

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)形成外科の長谷川健二郎講師のチームが、事故などで切断した手足をつなぐマイクロサージャリー(顕微鏡下手術)で学会関係者も認める全国トップクラスの実績を挙げている。手術後に切断部位が生きて機能する状態を示す「生着」率は90%超。おおむね12時間以内であれば生着できるとして、岡山県内外から24時間体制で患者を受け入れている。

 マイクロサージャリーは、顕微鏡を見ながら直径1ミリにも満たない血管や神経を1本ずつ、針と糸で縫い合わせ、切断された腕や脚をつなぎ合わせ、機能をよみがえらせる。

 同病院は2001年から着手。長谷川講師が手術チームのリーダーに就任した06年4月から取り組みを本格化させ、現在までに手掛けた約70件のほとんどが成功。日本マイクロサージャリー学会元会長の山野慶樹医師は「全国でもトップクラスの手術レベルだ」と評価する。

  ■   □ 

 「切断した腕がつながり、温度を感じられるまで回復したことに感動を覚えた」。業務中の事故で肘(ひじ)から先を切断した兵庫県、建設業男性(60)はしみじみと喜びを語った。

 男性は07年11月、コンクリートを運ぶベルトコンベヤーを掃除中、右腕をローラーに巻き込まれ、岡山大病院に救急搬送された。約10時間に及ぶ手術で生着した腕はリハビリで肘が曲がるまでになり、指も少しずつ機能を取り戻している。

 2年前に仕事中、のこぎりで右手の親指を除く4本の指を切断した別の男性=当時(20)=も再接着術で、切断部分のうち見つからなかった小指以外の3本が元通りに。ペンを握るなど、指の機能をほぼ取り戻せたという。

  □   ■ 

 マイクロサージャリーで90%超の生着率を誇る岡山大病院は、中四国で最も手厚いチームを組む。再接着術ができる医師は大規模病院でも3―5人程度といわれる中、岡山大病院は長谷川講師ら8―10人の手厚い陣容で、院内の教育プログラムを充実させて人材養成を図っている。

 切断状況にもよるが、おおむね12時間以内であれば生着が可能なことから、同病院は3年前から24時間体制で患者を受け入れ。県外からの搬送も増えているという。

 長谷川講師は「優秀な医師を育てて一層の技術向上に努め、患者のQOL(生活の質)向上を図っていきたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年05月18日 更新)

タグ: 岡山大学病院

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ